国立ハンセン病資料館の運営等にかかる公開質問状

国立ハンセン病資料館の運営等にかかる公開質問状

2020年4月28日

公益財団法人笹川保健財団
 会 長 喜多 悦子 殿
 理事長 佐藤 英夫 殿

国家公務員一般労働組合
執行委員長 川村 好伸
〃 国立ハンセン病資料館分会
分 会 長 稲葉 上道

国立ハンセン病資料館の運営等にかかる公開質問状

 国立ハンセン病資料館と重監房資料館の運営や各社会交流会館の学芸員の雇用等は、厚生労働省の委託事業として毎年の一般競争入札によって受託者が決められています。2016年4月からは公益財団法人日本財団(以下、日本財団)が受託してきましたが、日本財団は2020年度の入札には応札せず、グループ財団である公益財団法人笹川保健財団(以下、笹川保健財団)が応札し受託しました。
 笹川保健財団は、一般競争入札の応札にかかる技術提案書において国立ハンセン病資料館の学芸員を事業課で5人、社会啓発課で2人としましたが、4月1日スタート時の実際の体制は事業課3人、社会啓発課1人となっており、学芸員3人の欠員を生じています。また、資料管理課長は事業部長の兼務としており、ここでも学芸員が欠員となっています。
 一方、笹川保健財団は、4月からの受託にあたって国立ハンセン病資料館等で働く学芸員をはじめとするすべての職員に対して採用試験を行い、国立ハンセン病資料館で18年間務めてきた資料管理課長の稲葉上道さんと、同じく3年半余勤めた事業課の大久保菜央さんという、実績と経験を積み重ねてきた学芸員2名をあえて不採用としました。
 稲葉さんと大久保さんたちは、資料館でのハラスメントをなくし、民主的な資料館運営などを求めて国家公務員一般労働組合に加入し、2019年9月に稲葉さんを分会長とした国公一般国立ハンセン病資料館分会を結成し、日本財団との団体交渉を重ねてきました。しかし、日本財団から応札を要請され2020年の受託者となった笹川保健財団は、他の学芸員等の雇用は継承したものの二人の雇用は継承しませんでした。
 国公一般労働組合と同資料館分会は、4月15日に笹川保健財団との団体交渉を行いましたが、不採用の理由をはじめ、資料館運営にかかる欠員や今後の体制などについては労働条件課題ではないとして、笹川保健財団は一切答えないという不当な対応に終始しました。
したがって、以下のとおり国立ハンセン病資料館の運営等にかかわって公開質問を提出しますので、5月15日までに文書で回答するよう求めます。

1、笹川保健財団は4月23日に学芸員募集をホームページに掲載しましたが、稲葉さんと大久保さんは国立ハンセン病資料館での就労を前提に応募する意思を表明しています。技術提案書に明記している国立ハンセン病資料館の学芸委員数を充足し、専門性や継続性を確保するためには、稲葉さんと大久保さんを採用することが必要だと思いますが、どうお考えでしょうか。

2、笹川保健財団は、3月に実施した採用試験において、資料館等の他の学芸員は採用して雇用を継承した一方で、4月からの資料館体制に欠員が生じるにもかかわらず、稲葉さんと大久保さんを不採用としましたが、その理由を明らかにしてください。

3、稲葉さんは18年、大久保さんは約3年半余にわたって資料館で働いており、それぞれ経験と知識、専門性を培ってきていますが、二人を欠くことは資料館運営において大きな損失となるとは考えませんか。また、二人を採用しなかったことで生じた欠員を埋めるために、新たな学芸員を採用して育成することは、時間と経費、労力の浪費とは考えないのでしょうか。

4、資料管理課長職については事業部長の兼務としていますが、資料管理課長は、資料の収集や整理、保存、さらには収蔵庫の新設など、資料館の重要で専門的な業務を担っています。資料管理課の業務の継続性を損なうにもかかわらず、同職から稲葉さんを排除した理由を明らかにしてください。

以 上