ハンセン病資料館分会について

私たちは2019年9月24日(火)、労働組合「国家公務員一般労働組合国立ハンセン病資料館分会」を結成しました。

国立ハンセン病資料館は、ハンセン病患者・回復者が生き抜いてきた証を残し、ハンセン病患者・回復者になされたのと同じ過ちが繰り返されないよう、社会に訴えかけることを目的として、ハンセン病回復者自身の手で設立されました。

その後、国賠訴訟の結果を受けて、ハンセン病患者・回復者の名誉回復を図るとの目的が加わりました。担うべき機能は、収集保存・調査研究・展示・教育啓発・情報センター・管理サービス・企画調整の7つとなっています。

設立の経緯および裁判の結果から、国立ハンセン病資料館はハンセン病患者・回復者の意向を尊重しながら、この7機能を通して目的を実現していくことが求められています。重監房資料館や全国の社会交流会館等もまた、概ね同様の目的・機能・役割を持っています。

しかし、現在の国立ハンセン病資料館・重監房資料館・社会交流会館等の運営には、単年度委託に起因する事業継続と職員雇用の不安定さや、職員に対する権限と責任の所在が不明確などの、重大な問題があります。にもかかわらず私たちには、管理運営受託者あるいは雇用者に対し、対等の立場で意見を申し述べることのできる場がありません。

また日々の活動に関しても、事業内容を民主的に決定する機会、あるいは事業の方針や計画を議論し決定する仕組みを、満足に手にすることができていません。

さらに事業を実践するために必要な、心身ともに健康で働きやすい職場環境は遅々として整わず、困難に直面したり、健康を害したりした際の、雇用者からの支援も不十分です。

国立ハンセン病資料館・重監房資料館・社会交流会館等には、組織規定、指揮命令系統、職務分掌表、権限規定、棒給表、評価制度、昇進の基準など、働くための基本的なルールも存在していません。

私たちは、こうした状態を改善するため、すなわち私たちの意志や提案を、有効かつ具体的にそれぞれの館のあり方や活動に反映させ、民主的で責任ある意思決定のプロセスを手に入れ、いくつかの館で見られる人権侵害の状態を解消し、健康かつ安心して働き続けられるようにするため、労働組合を結成しました。

それぞれの館の主体性は管理運営受託者にあるのではなく、ハンセン病患者・回復者と、それぞれの館が設けている意志決定機関にあります。

私たちは、それぞれの館の主体性を忘れることなく、設立目的や役割を堅持し、患者・回復者の尊厳を重視し、また意向を尊重し、ひいては社会にとって有意義な博物館施設であり続けるために、それぞれの館が抱える問題の解決を目指します。

2019年9月24日